黄緑絵の具
『あたしはスグリ。あなたは?』
シャワーを浴び終えた女の子に、タオルと着替えを渡す。
『藤村周平です……』
スグリは裸のまま、部屋にある小物や画材をいじくっている。
細いけど、女性らしい綺麗な曲線。
均整の取れた完璧なプロポーション。
目のやり場に困ってしまう。
『スグリさん。
服、着てもらえませんか』
スグリは面倒くさそうにTシャツを着た。
『スグリって呼び捨てにしていいから』
そしてまた僕の画材を触り始めた。
『人間って面倒だね。
いつも服着てなきゃなんないし』
もうどこから突っ込んでいいか分からない。
落ち着くために、コーヒーを淹れる。
スグリにもマグカップを渡すと大喜びだった。
コーヒーは好きらしい。
『スグリは何者なの?』
するとスグリは鼻で笑った。
『フォルネウスに作られた使い魔だよ』
『えーっと……
僕には関係ないので帰ってもらえないかな』
挙動不審になりながら、お願いしてみた。
『無理。封印解いたシュウがあたしの主。
だからあたしはシュウの側にいる』
悪魔に使い魔。
なんなんだ、一体。
僕にいつも通りの日常を返してくれ!