黄緑絵の具
『ん! すごく美味しい!!』
目の前に並べられた料理は量が多かったけど、あっという間に食べ終えてしまった。
ちょうどいいタイミングで食後のコーヒーまで出てくる。
『喜んでくれて良かった』
スグリは嬉しそうに笑った。
いつも適当に作って、ひとりの食事。
自分のために作られた食事は、家族がいなくなってから初めてだった。
『すごく美味しかった。
本当にありがとう』
礼を言うと、スグリは急に土下座をした。
『あたしをここに居させて下さい』
『いや、そう言われても、僕も困るし……』
頭を下げた格好のまま、動こうとしない。
女の子にこんなことをさせるのは心苦しい。
それに美味しいご飯を作ってもらった恩もある。
『分かった。
今晩だけは泊めてあげるから。
頭を上げて?』
スグリは立ち上がると抱きついてきた。
『シュウ、ありがとう!』
チュッと音をたて、僕の頬にキスをした。
『!!!』
頭に血が上るのがわかる。
その感触は柔らかくて……
そんな事を考えていたら、だんだんと意識が遠のいていった。