黄緑絵の具
Tシャツの薄い生地越しに伝わってくるスグリの体温。
彼女を守ってやりたい。
悲しませたくない。
そんな風に思ってしまった。
スグリの手が僕の背中に回り、シャツをきゅっと握った。
胸が切なくて苦しくて……
こんな気持ちは初めてだ。
“離れたくない”
不覚にもそう思ってしまった。
抱き合う形のまま、時間は過ぎていく。
僕の心臓はバクバクと、破裂しそうな勢いで跳ねている。
スグリに聞こえてしまうかもしれない。
『シュウ?』
『……なんだよ』
『あたし……やっぱりシュウと離れたくないよ。
嫌われたくないし、迷惑もかけたくない。
だけど一緒にいたい』
グラリときた。
さっきよりも心臓の鼓動が速まり、思考回路は遮断された。
考えるよりも口が先に動いた。
『じゃあずっと一緒にいればいい。
スグリが出て行きたくなるまで……』