黄緑絵の具
一人になって冷静に考えてみると、自分のしたことに驚きを隠せなかった。
女の子に対してあんな気持ちを感じたのは初めてだし、自分から動いたのも初めてだ。
まだ手にも胸にも、スグリの感触が残っているようだ。
微かに甘い匂いがした。
柔らかくて、華奢で…
『シュウ、大変!』
やらしい想像に走りかけていた僕はビクッとなってしまった。
『どっ、どうしたの?』
スグリはかなり焦っている。
『冷蔵庫の中、空っぽだよ。
これじゃご飯作れない~!』
地団駄踏みそうなくらい悔しがるスグリがなんだか可愛く見えた。
『いいよ。どこかに食べに行こう。
お祝いだ』
『お祝い? 何の?』
キョトンとしたスグリの耳元で囁いた。
『スグリが僕の所に来てくれたお祝い』
少しキザだったかな、と自分の言葉に照れてしまった。
スグリは、というと……
『じゃあ少しだけ待ってて!』
そう言うと、僕の寝室に駆け込んで行った。