黄緑絵の具
気が付くと、スグリのグラスが空になっている。
『ビールまだ飲む?』
『違うのがいいな』
スグリはどれがいいか決められないようなので、代わりに僕が選んだ。
注文したのは桂花陳酒。
金木犀のお酒と言われ、とても良い香りがする。
甘いのが苦手な僕は、ドライマティーニを選んだ。
『これ美味しい~!』
桂花陳酒が気に入ったようで、スグリはグイグイ飲んでいる。
『それ、ロックだからゆっくり飲みなよ』
『うん、分かった!
……おかわり~』
顔には出てないけど、酔ってるのかもしれない。
お腹いっぱいになったし、そろそろ帰ろうかな。
『ちょっとトイレ行ってくる』
トイレを済まして手を洗っていると、後ろから声をかけられた。
『周平じゃん!ヒマになったのか?』
『アキラ!』
振り返ると、アキラはニヤニヤしていた。