黄緑絵の具
いやな予感がする。
『もしかしてコンパ?』
『そう。今日って言わなかったっけ?』
女の子と二人なのを見られるのはまずい。
きっとアキラのことだから、色々としつこく聞いてくるだろう。
『そっか。もう少ししたら帰るんだ。
じゃあな』
その場を立ち去ろうとして歩き出すと、アキラがついて来る。
『一人じゃないんだろ?
誰と一緒なんだよ』
鋭い……。
コイツに隠し事は無理なのか。
ニヤリと笑うアキラを見てため息が出た。
『絶対に他の奴らには言うなよ』
アキラはニヤニヤ顔のまま、深く頷いた。
席に戻ろうとして、誰かがスグリに絡んでいるのが見えた。
急いでスグリの所に駆けつけると、そこにいたのは同じ学部の砂川だった。
『おい、砂川。
コンパに来といてナンパなんかすんなよ』
アキラは明らかに腹を立てている。
『あ?コンパに来てる女が冴えねーから、いい女を口説いてんだよ』
かなり険悪な雰囲気になりだした。