黄緑絵の具
スグリの方を見ると、かなり酔っているのか視線が定まっていない。
『ねぇ、砂川。
悪いんだけどその子、僕のツレなんだ。
やめてくれないかな』
腹は立つが、にっこりと作り笑顔で言い放つ。
チッと舌打ちをして、砂川は自分のテーブルに戻っていった。
『もう絶対アイツは誘わねぇ。
周平、ごめんな?』
『アキラは悪くないよ。
アイツが悪いんだから』
話しながらもアキラはスグリが気になるようで、かなりチラチラと見ている。
『もしかして……彼女か?』
僕は首を振った。
『ずっと周平は女に興味がないんだと思ってた。
今度会ったときに詳しく教えろよな!』
なんだかアキラに気を使わせたようで、申し訳なかった。
ただ、今すぐスグリのことを説明しろと言われても、きっと無理だとおもう。
『うん。今日はもう帰るよ』
『おぅ。またな』
僕は会計を済ませると、スグリを連れて店を出た。