黄緑絵の具
部屋に戻ると、スグリは大人しくベッドの上で体操座りで待っていた。
眠いのか、ふわっと欠伸をしている。
『おまたせ。
ちょっとしみるかもしれないよ』
僕もベッドに腰掛け、スグリの足を軽く持ち上げた。
靴擦れは皮膚が捲れて血が滲んでいる。
かなり痛いのを我慢してたんじゃないのか?
シュッ、シュッ……
消毒液を吹きかけ、ティッシュで軽く傷口を押さえた。
『痛ぅっ……うぅ~!』
『あっ! ごめん。』
やっぱりしみたのか、目を瞑り堪えている。
眉間に皺まで入って。
少し経つと痛みが引いたみたいで、やっとスグリは目を開けた。
『よしよし。頑張ったね』
頭をなでてやった。
僕を見上げるスグリを見ると、涙目で泣きそうになっている。
唇はへの字を描き、怒っているようにも見える。
そしてキラキラと輝く瞳から、涙が一粒ポロリと落ちた。