黄緑絵の具



『じゃあ着てみる!』

そう言って、スグリは着替えに行った。


『キスも迫れぬくせに、大した独占欲だのう』

ベリアルが耳元で囁く。

僕は聞こえないフリをした。

『男らしくいかねばな……』


言われなくても、自分が一番わかっている。

あの時以来、スグリに触れたくても触れられない。
手も繋げない、意気地なしの僕。

ベリアルの言う事は間違ってない。

スグリに嫌われたくなくて、臆病になっている。

黙り込んでいると、着替え終わったスグリが戻ってきた。


『シュウが選んでくれたやつ……
どうかな?』

露出云々を抜きにして、さっきのビキニより似合っている。

『絶対それがいい!』

『ふむ。確かにスグリにはそっちの方が似合っておる』


スグリは自分でも気に入ったようだった。


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