黄緑絵の具
二人が服に着替えて戻ると、僕は三人分のコーヒーを淹れた。
『海水浴のことだけど。
大学の友達も一緒に行くことになったんだけど、いいかな』
恐る恐る報告する。
『我は構わぬよ。いい男さえいれば』
いい男がいるかどうかは知らないけど。
『スグリは大丈夫?』
『うん! シュウの友達に会ってみたい』
二人とも賛成してくれてよかった。
でも一つだけ釘を差して置かないと。
『絶対に悪魔や使い魔だってバレないように気を付けてね』
ベリアルとスグリは、顔を見合わせ吹き出した。
『どれだけ長生きしていると思うておる』
『あたしだってそれくらい分かるよ』
二人して僕を指差し、笑い転げる。
人の気も知らないで!
ベリアルはその日、帰るまでずっと僕をからかってきた。