黄緑絵の具
『すまぬ。我も油断しておった』
ベリアルは悲しそうな表情で近付いてくる。
そしてスグリの頭を撫でた。
『スグリ……お前の魔力が覚醒したのだ。
じきにフォルネウスが来るであろう』
ベリアルの指の先。
スグリの髪が黄緑色に変わっていく。
『ベリアル! なんで!?
スグリはどうなっちゃうんだよ!!』
ベリアルは僕達を包むように抱き寄せる。
『お前達が大好きじゃ。
ずっと二人を見ていたかった……
我を許しておくれ……』
僕の肩を掴む手に力が入った。
『その女、返してもらおうか』
振り返ると、全身黒ずくめの男が立っていた。