黄緑絵の具
家に帰ってから、ベリアルが最初に言った言葉。
それは“フォルネウスと戦う”だった。
『フォルネウスとは友達なんじゃなかったの?』
『そうだ。
しかし絵の具を持ち出したのも、シュウに渡したのも我。
フォルネウスを止められなかったのも我に責任がある』
悔しそうにベリアルは言った。
『フォルネウスは本当に志乃を愛していたのじゃ。
そして志乃を蘇らすための依り代として、黄緑色の使い魔を作った……』
窓の外を眺めながら語るベリアルの顔は、僕からは見えない。
ただ、こんなに重い雰囲気を纏うベリアルを見るのは初めてだった。
『……戦って、勝ち目はあるの?』
『魔力は我の方が勝っておる。
案ずるな』
窓を開け、ベリアルはこっちを振り返る。
『シュウはスグリを連れて逃げる事だけを考えろ。
わかったな?』
僕が頷くと、ベリアルは窓から飛び立ってしまった。