黄緑絵の具


夜が明ける頃。
静かにベリアルは戻ってきた。


『眠らずに待っておったのか?』

『なんだか眠れなくて』

『少しでも眠れ。
体が持たぬぞ』

ソファーに横になろうとして引き止められる。

『これを渡しておく』

『なに?』

手渡されたのは、薄紫色のビー玉。

よく見ると濃くなったり、淡くなったり。
常に色調が変化している。


『スグリの手を取ったら、それを割れ。
お前達を安全な場所へ誘導してくれるはずじゃ』


魔力を持たない僕にできることは、逃げることだけ。

ベリアルの心遣いに感謝した。



悪魔達の住む魔界へ出発するのは明朝、日の出前に決まった。


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