黄緑絵の具
穴の中はさっきまでいた僕の部屋とは全くの別世界だった。
空気がねっとりと身体にまとわり付くようで気持ちが悪い。
上を見上げると月が二つ。
赤い月と黄色い月。
そして濃いグレーの空を飛び交うコウモリの群れ。
ベリアルが合図する。
『あれがフォルネウスの館じゃ』
指差したその方向には、大きな古い屋敷が見える。
僕等は地面に降り立ち、勝手に屋敷へと入っていった。
『フォルネウスは不在のようだ。
今の内にスグリを連れ出すぞ』
スグリの気配を追い、たどり着いたのは屋敷の地下。
『多分ここにいる』
重厚な扉を二人で押す。
鍵はかかっておらず、意外と簡単に扉は開いた。