黄緑絵の具
桑原氏の気持ちはどうだったんだろう。
フォルネウスを同じように愛していたのだろうか。
僕の思考を読み取ったかのようにベリアルは語りだした。
『最初はお互いに愛し合っておった。
だけど志乃はスミレを愛してしまった。
スミレの一生を背負い、夫婦として生き抜いた。
フォルネウスの愛は一方通行。
愛し過ぎた故、狂っておる。』
ベリアルはふぅっとため息をつく。
『スグリの身体に志乃の魂を入れても、
…それはもう志乃ではない!』
きっとベリアルも悩んだに違いない。
表情は硬く、辛そうに見えた。