黄緑絵の具



青い煌めきを見つめるベリアルの拳が震えている。

あっと思った瞬間、その瞳から涙が一粒落ちた。


『ベリアルは桑原氏のことも、フォルネウスのことも。
そしてスミレさんのことも好きだったんだね……』


『あぁ。

だから志乃を解放してやりたいし、狂ったフォルネウスも正気に戻したい……』


スグリだけじゃない。

僕だけじゃいけない。

救われるべきは、全員。


『ベリアルは桑原氏を!
僕はスグリの方をやる!!』


壁に掛けられた斧を手に取り、力の限り水槽に叩きつけた。



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