黄緑絵の具



体に響くような爆発音が鳴った。




大きな音を立てて、二つのガラスが同時に弾け飛ぶ。

ビショビショに濡れるのも構わず、スグリを抱き締めた。


『もう会えないかと思ってた……』

僕の腕の中で呟く。

微かに肩が震えているが、その表情は見えない。


自分の着ていたシャツを、スグリにかけてやる。

『スグリは僕のものだ。
もう絶対に離さない』

『あたしも。シュウから離れたくない』

スグリの唇にキスを落とした。



『ぐあっ!!』

呻き声のする方を向くと、ベリアルの腕からべっとりと血が滴っている。

その奥には無表情のフォルネウスが見える。



『志乃は渡さぬ。
私のモノだ!』


フォルネウスの手から光の塊が現れ……

そしてそれは、凄いスピードで僕に向かってきた。



< 69 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop