黄緑絵の具
ヤバイ!!
せめてスグリに当たらぬように、庇うようにその身体を抱き締め目をつむった。
しかし。
衝撃も熱さも全く感じない。
恐る恐る目を開けると、僕等は青緑の光に包まれ宙に浮いていた。
『……みれ……。』
ぼんやりとした男の声が聞こえる。
『俺をスミレの所へ……』
『誰!?』
ベリアルでもフォルネウスでもない。
――ってことは、この青緑色の光。
『桑原さんなんですか?』
『そうだ……俺を……解放して……く……れ……』
桑原氏の声が切なく響く。
『なぜ志乃が庇う?
……私には何十年も応えてはくれなかった……』
『志乃は復活など望んではいない。
お前は愛しすぎた故に、相手が見えなくなっていたのじゃ』
ベリアルの言葉で、フォルネウスはその場に泣き崩れた。