黄緑絵の具
意識が戻って一番最初に見たのは、触れそうな程どアップなスミレさんの顔。
心臓が止まるかと思うくらいの衝撃を受けた。
『やっと目を覚ましたね。
魔界の空気は人間には重かったろう?』
心配顔のスミレさんには悪いけど、かなりの速さで心臓がドキドキしている。
よく見るとそこは見覚えのない部屋。
壁·天井·床、部屋の面全てに魔法陣が描かれている。
『ここは……』
『わたしの家、店の二階さ』
ここは閉塞感と清涼感が入り混じった不思議な感覚がする。
なぜ僕はここに?
あれは夢だったのか?
『スグリはど
『ここに“魔”は立ち入れない。
しばらくゆっくりしていきな』
穏やかな口調で遮るスミレさん。
その目には穏やかさは全くない。
まるでスグリの話を避けているように感じた。