黄緑絵の具
なぜその話を避けるのかは分からないが、僕だって引き下がれない。
『スミレさん。はぐらかさないでください!
僕はスグリに会いたい。
彼女がどこにいるのか、教えてください!!』
なりふり構わずに、その場で土下座した。
『まさか土下座とはね。
スミレ、もういいじゃないか』
スミレさんとは違う声。
顔を上げると、スミレさんの横に青緑色に光る人が立っていた。
『もしかして、桑原さん……ですか?』
僕はおかしなことをしてしまったのだろうか。
二人はクスクスと笑った。
『志乃さんの若いときと同じだね。
これで私も思い残すことはないよ』
桑原氏とスミレさんが微笑み合うと、それが合図だったかのように二人は透けていく。
『えぇ!? ちょっ、なんで?
どうして…』
『最期に力を使ったからね』
桑原氏がふわりと微笑んだ。