黄緑絵の具
『べリアル様に渡した紫の玉。あれは私の魂の一部さ。
私は昔、使い魔だった。
志乃さんと夫婦になるため、人間になり魔力を失った。
あれはフォルネウス様から志乃さんを解放してもらうために、
命を削り取って作った力なんだよ』
スミレさんが話している間も、二人の身体は足元から白い光に変わっていく。
『最期は志乃さんに会えた。そして志乃さんと共に逝ける。
私達はあんたとべリアル様にとても感謝してるんだ』
行かないで!
消えてしまわないで!!
そう叫びたいのに、声が出ない。
二人が光に変わり、紫色と青緑色が交わりながら煌めいている。
絶句する程の美しさと悲しさを湛えた光景に、自然と涙が溢れる。
『私とスミレを再会させてくれた君に、この家と店の権利すべてを譲ろう。
黄緑色の使い魔は見つからないように封印してある。
ここには入れないから。
君ならきっと見つけられる…
この家…の…の…だ。
本当、にあり……が、とぅ……』
その言葉を最後に、目が眩むほど一際真っ白に光る。
そして二人は完全に消えてしまった。