黄緑絵の具
そしてまた一人ぼっち。
魔法陣だらけの部屋に一人取り残され、どれくらい経っただろう。
ふらりと立ち上がり、部屋の戸を開けた。
レトロな木造住宅を想わせる廊下に夕日が差し込んでいる。
真っ赤な夕焼け。
長い一日の終わりを知らせる色。
唐突な出会い。
育んだ友情·恋情。
発覚した真実。
転がり込んだ非日常。
僕等の繋がりも、今日という一日のように終わってしまったのだろうか。
全員が救われるべきだった。
なのに桑原氏とスミレさんは消滅し、べリアルは消息を調べる術もない。
スグリとはぐれたまま、僕は一人ぼっち。
家族をなくしてから、孤独には慣れたと思っていた。
失うものなんて何もないと思っていた。
でも違った。
寄り添う温もり。
優しい微笑み。
共有する喜び……。
得たものはあまりにも温かすぎて、どうしても諦められなかった。