黄緑絵の具


再びキスをしようとして気付いた。

『スグリ! 髪が黒に戻ってるよ!!』

昨晩までは黄緑だった髪色が、元の艶やかな黒に変わっていた。

『え? 本当に!?』

バッと起き上がったスグリは、裸のまま部屋の外に飛び出した。


慌てて追いかけると、スグリは洗面台の鏡に見入っている。


『昨日は黄緑だったよね?』

『うん。僕も気付いて驚いた』


元に戻ったのがかなり嬉しいらしく、上機嫌で髪を触っている。


『汗かいたままだし、このままシャワー浴びちゃおうか』

隣の浴室でシャワーを浴びながら、また何度もキスを交わした。

繰り返される熱い口付けに反応する僕の身体。

『……シュウのえっち』

クスクスと笑うスグリの唇をキスで塞ぐ。

二度目の行為を期待したその時。

視線を感じて振り返る。


『!!』



そこには浴室のドアを開け、ニヤニヤといらやしく笑うベリアルがいた。


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