黄緑絵の具


『今まで何してたんだよ!』


急いで服を着た僕は、ベリアルと居間で向き合っていた。


『フォルネウスにやられた傷が酷くてな。
魔力が回復するまで来れなかった』

『すっごく心配してたんだから!
もう会えないかと思ったよ……』


まだニヤニヤと笑うベリアルに少しイラっときた。

だけど無事だったことに安心したし、また会えて本当に嬉しい。


『シュウ、お前の男らしさに感心したぞ』

『は?』

『使い魔は人間と交わると、魔力を失い人間になってしまう。
スグリを自力で人間にした上、交わった翌日にプロポーズとはな。

恐れ入ったぞ!』


なんで昨日の事や今朝の事を?

頭が痛くなる気がした。


『昨日から覗いてたの!?』

『そう怒るでない。
魔界からちょっと様子をうかがっていただけだ』


昨日からずっと……

恥ずかしさと怒りで拳が震えた。



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