黄緑絵の具
エピローグ
授業が終わり席を立つと、アキラが手招きをした。
『今日シュウんちに行ってもいい?』
『いいよ。どうしたの?』
わざわざ聞くなんて、アキラらしくもない。
いきなり遊びにくることだってあるのに。
『いやぁ、カヨがスグリちゃんに会いたいってうるさくてさ』
海水浴に行った後、スグリとカヨちゃんは急速に仲良くなっていた。
『じゃあ今夜はうちで鍋でもしよっか!』
カヨちゃんの授業が終わってから、うちにくることになった。
『僕は先に帰っとくね』
アキラと別れ、帰路につく。
春に出会い、夏に結ばれ、二人で初めての冬を迎える。
電車を降りると風が冷たくて、家が恋しくなった。
商店街の門を曲がり、裏路地に入ると我が家が見える。
店を覗くと、お客さんで賑わっていた。