やくそく花火
中二の夏 前編
「暑い…。誰か太陽を沈めて」
あたし、中学二年生の春野花夏(ハルノカナ)は
6月になったばかりなのに
このクソ暑い……おっと失礼。とっても暑い気温に参っています。
「あ~!!沈め太陽!!あんたがいないほうが日本のためだよっ
!」
「えっ!?俺全否定かよ!」
この今まさにあたしに突っ込みをいれたのは
日高太陽(ヒダカタイヨウ)。
お空にある丸い火の玉と同じ名前であるから
さっきのあたしの
発言に突っかかってきた。
なんて紛らわしい名前!!全く…暑いのなんのって。ねぇ?
「別に太陽とは言ってないじゃん」
「いやいや、俺バリバリ太陽」
だから、あんたじゃないわよ!ちくしょー!!本当に紛らわしい。
「太陽のそのネタ飽きたから…。うん」
二年生始めの頃、窓際の席のあたしが
「太陽眩しー…」
と言った時、たまたま太陽が
「えっ?俺?」
と反応して始まったこのやりとり。
飽きたと言いつつ、面白いから言うあたしは大口
叩けないけどね。
「あんたら本当に仲いいヨネ~」
あたしの隣にいる心友の福田由香里(フクダユカリ)が
縁起でもないことを言う。
「「何縁起でもない事言ってんの/だよ」」
…………見事にハモったあたしと太陽
「縁起でもないってどーゆう意味よ!?」
「お前だって人のこと言えねーだろ!?」
ギャハハハとお腹を抱えて笑う由香里を無視して
いつもと同じように言い合いをしてたあたし。
それから言い合いは先生によって止められた。
「おーい!今日の日直は職員室のプリント運んどけ。」
それだけ言うと、先生は教室を出て行った。
「あれ?日直ってあんたらじゃない?」
あたしと太陽に人差し指を向けて言う由香里。こら、人に指向けない。
「マジで?めんどくせー…」
「そう?あたしはラッキーだけどねん。職員室クーラーきい
てるし」
「それを早く言おうか。」
太陽はスタッと席を立って職員室へ向かう。
「ちょっと!待ってよこの!」あたしもその後について行った。
由香里はあたし達を見て「行ってらっしゃい」とだけ声を掛けた。
「失礼しましたー。」
プリントをもらったら、さっさと先生に追い出されちゃった。
あのオヤジ…こき使いやがって!!