ネクロフィリア【加筆執筆中】
一番星が光る空を見上げて、ぼやくように藤井さんが呟く。


「ああ、もうこんな時間」

「帰る時間?」

「…そろそろね。あ!最後に観覧車乗らない?」

「乗ってなかったね、乗ろうか」

「うん!」

嬉しそうに俺の手を取ると、観覧車へと向かった。
すんなり乗れた観覧車。
俺と藤井さんは向かい合わせで座る。


「…たかーい、すごーい」

「はは、子供みたい」

「むっ。だって、遊園地とか行ったのって小さい時で覚えてないんだもん」

「そうなんだ」

「今の家族は私に興味ないからね…」

そう、独り言のように言う藤井さんの横顔に胸の辺りがざわつく。
今まで感じた事ないような感覚。


きゅっと、心臓が縮こまる様な。


「でも、そんな家族とも後少しでオサラバ!
あー清々する!」


くるっと、俺を見てそんな事を言いながらぎこちなく笑った。

さっき感じた感覚はもうない。
…なんだったんだろう?


初めてだ、こんなの。
死体を見た時とは違う、感覚。
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