ネクロフィリア【加筆執筆中】
「藤井さん、機嫌直して?」

きゅっと手を強く握りしめて俺はそう問いかける。
藤井さんは俺を上目遣いで見ると、小さくコクンと頷いた。


「…よかった」

「…だって、可愛いだなんて反則だよ」

「反則?」

はあ?俺が可愛いって言った事に怒ってたわけ?
それって喜ぶとこじゃないの?


「よくわかんねえ」

ぽつりと俺がそう漏らすと、藤井さんは

「いいの、わかんなくて」

またぷいっと顔を背けた。


――――…だけど、手は繋がれたまま。


よく、理解出来ないってのが本音。

可愛いってのは褒め言葉だと思っていたし。
だから、それで怒る事も正直理解出来ない。


でも、手を離さず隣にいるってことは…。

こないだ突然帰った時みたく、怒っていないってことだろう。


ややこしいけど。
きっと、そうなんだろう。


藤井さんは顔を前に向けると、また関係ない話をし始めた。
それでさっきまでのわだかまりもなくなる。

藤井さんって、不思議だ。

怒ったり、笑ったり、泣いたり。


とにかく、不思議だ。
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