儚き願い





「柘榴??何か変だよ今日。
どうしたの?風邪でもひいたの?」
蓮華は僕のおでこに手を当てた。





「ねぇ、蓮華様。
獣の餌は何か知っていますか??」
僕の問いに蓮華は眉を顰めて
僕を見た。





「やっぱりなんでもないです。」
そう言って僕は微笑んだ。





「柘榴・・・」
蓮華は僕の名前を小さくつぶやいた。





「いけませんね僕。
主人の幸せのために契約しているのに。
さぁ、先を急ぎましょう。」
そう言って苦笑を浮かべた。





そう言うとそのまま僕は
蓮華の手を取って歩き始めた。





市場に着くと沢山の人が歩いていた。
「離れてはいけませんね」
と言って僕は蓮華の手を
しっかりと握った。




僕は獣の中では小さい方だ。
でも人間の中に紛れると、
普通の男とそう大差ないことが分かった。





「柘榴!」
僕の名を呼ぶ蓮華の声。
振り返ると蓮華が人に押されて
歩きずらそうにしていた。
僕は、そんな蓮華を
ひょいと持ち上げてそのまま歩いた。





出会った時、蓮華は十歳だった。
今は、十六歳になった。





「柘榴!!このまま右にあるお店に行って。」
けど蓮華は何も変わっていない様だった。





「了解!!」
僕はちょっとノリで言ってみた。





そして、買い物はあっという間に終わった。












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