儚き願い





「今日は何の日でしょう??」
帰り際に蓮華が問題を出してきた。





「う~ん」
僕は必死に考えているふりをした。
本当はそんなことしなくても分かっている。





今日は・・・・・・・
僕と蓮華が初めて会って、契約をした日。





蓮華はにこにこ笑っていた。
「今日はね。僕たちが初めてあった日」
と僕は答えた。





すると蓮華はうれしそうに、
「ピンポーン」
と言った。





「だから、今日は
こんなに沢山買い物したんだよ!」
と、付け加える様にして
蓮華は僕に言った。





(違う。僕が欲しいのは
美味しい人間の食べ物なんかじゃない。
そう。僕が欲しいのは生気・・・)
ふと、僕の中にそんな考えが過ぎった。





「柘榴??どうかした??
顔色悪いよ??獣って病気するの?」
蓮華は心配そうに問う。





「何でもないよ。
最近、あまり良く眠れてないだけなんだ」
そう言って誤魔化した。





「あんまり何かに思い詰めないでね。」
蓮華は僕に静かにそう言った。
その表情はまるで僕の付いている嘘を
全て知っているかの様に・・・








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