儚き願い




目覚めると僕は生命の樹の
自分の部屋に眠っていた。





人間にとっての一日は
獣にとって一時間ほどにしか
感じられなかった。





長寿であると言う事は
決して嬉しい事ではない。





むしろ、寿命は長いと苦しい事の方が多くなる様な気がした。





僕達獣が見るのは

“沢山の出会い”

と、それに伴った

“沢山の死”

だった。






一体、僕の一生で
何人の人間が輪廻転生するのだろう??





見ているのが苦しかった。
人が死んで





主人なんか毎回、毎回変わって・・・
何人の人間に僕は従ってきたのだろう?





人間は僕を
“物”
としてしか見てくれなかった。










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