儚き願い
宝の日【タカラノヒ】
いよいよ宝の日はやってきた。
みんなは目をギラギラ光らせているが、
僕はやっぱりどうもやる気が出なかった。
「柘榴」
不意に誰かに呼ばれた。
「牙炎」
振り返るとそこには親友
牙炎の姿があった。
「お前、また禁忌の言葉を??」
牙炎は言いにくそうに言った。
「うん。ちょっと失敗しちゃった。」
舌を出して笑う僕に牙炎は言った。
「失敗しちゃったって、お前一体何考えてんだよ。」
案の定怒られてしまった。
「今日の宝には出んのか??」
心配そうに聞く牙炎。
「まだ、悩んでるんだ。
本当に出ても良いのかな??って」
笑いながら答える僕に牙炎は頷く。
「まぁ、最終的に決めるのはお前だしな。
じゃあ俺そろそろ行くわ。」
そう言って後ろを向き
手を左右にヒラヒラと振って
牙炎はどこかに行ってしまった。
「やっぱり出ようかな??」
僕は小さく頷き
自分の部屋を後にした。
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