時の中で
夏.
××××
──ヒューーー…バーーン
『花火始まっちゃったに!』
「あと2時間やるし」
呆れながらバイクを走らす
蓮紅の背中にしがみついて
あたしは花火を見上げていた
「…ここでいいだろ」
バイクをとめた場所は丘の上だった
柵を跨いでちょっとした
コンクリートの上にしゃがみこんだ
前をみると海が広がっていて
花火を独り占めした気分になる
『綺麗じゃん♪流石蓮紅♪』
──ヒューーー…バーーン
蓮紅の肩に頭をのせると
蓮紅は照れながらも手を繋いでくれた
「好きだよ」
『内も好きだよ?』
「は?花火で聞こえない」
『好きだよーー!』
「聞こえん聞こえん」
絶対聞こえてるのに
蓮紅はわざと聞こえないフリをする
ムッとしたあたしは
蓮紅の耳元に顔を近づけて
「好きー!」と叫んだ
その瞬間蓮紅は
あたしの顔を掴むとキスをしてくれた
今までよりずっと、ずっと深い
「うるさい、馬鹿」
耳元でそう囁く蓮紅に
あたしの胸はキュンとなる
「愛してるから」
そんな言葉にあたしは落ちていた
照れ笑いを浮かべる蓮紅
今までで一番幸せだと思った
この時間が止まればいいのに