時の中で




「お前酒弱すぎ」


海から涼しい風が吹いてきて
あたしの酔いをさましてくれた



『もう大丈夫、ごめんよ』

「あぁ、んぢゃ行くか」


そう言って歩き出したのは
みんなと逆方向だった

駐車場に来るとメットをかぶせてきて
「乗れ」のひとこと
蓮紅はあたしが酔ったから怒ってると思う

そう解釈して
素直にバイクに跨がった


コールを聞かせて走り出すバイク
あたしは落ちないように
蓮紅の背中にしがみついて
風にのって香る
蓮紅の香水に安心していた







蓮紅の家に着くと電気はついていなかった
親は海外ではたらいているから
年に数回しか会わない
ふっと前聞いた話を思い出していた


蓮紅はタンスからスウェットをだしてきて
あたしに渡すと風呂に案内してくれた







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