時の中で
───ブォオンブォンブォンッッ
後ろからバイクの音が近づいてくる
「よ、琉希!」
バイクを横に停めながら
あたしに話しかける人
小林聖太[コバヤシセイタ]
短髪金髪に襟足のスタイルで
世間一般でいう“不良”の分類
『またバイク変えたの?』
「ゆってもかっこいいだろ?」
得意げに話す聖太の後ろ座席に
見たことない男が乗っていた
「こいつ俺の連れ、矢野蓮紅[ヤノレンク]」
紹介された君は少し不機嫌で
黒髪短髪に襟足
これまた“不良”の匂いがすごい
まぁ、聖太の連れなら可笑しくない
そんなことを考えながらも
君から目を離し聖太へと視線を向けた
「琉希は今からなにすんだよ?」
『マイホームへ帰宅』
「俺等はツーリング♪♪」
あたしに聞いたのは
自分が言いたかっただけ?
なんて心でツッコミながらも
『よかったね』と返す
少し世間話をすると
また近所迷惑な爆音を響かせて
聖太と君は走っていったね
これが君とあたしの出逢いだったね