時の中で

短すぎるオリエンテーションが終わり
あっという間に教室へと案内された

あたしは窓側の一番後ろの席
なんとも好都合な場所に
少し苦笑いしてしまった


席に着いてからは
おとなしく窓の外をみていた
あたしはまだ
春休みぼけが残っているみたいに
なにも考えずただ外をみていた


「えー新一年生のみんな────」

担任の話が始まっても
教室は騒がしかった

それと同時に
教室に入ってくる人もいた
自由すぎて少し心配になる



｢おい琉希！｣


聞き覚えのある声に振り返ると
聖太があたしの隣に座っていた


『席ここじゃなくない？』

「関係ねぇよ」


質問にひとつ返事で答えると
驚くことを言い始めた


「お前蓮紅嫌いなの？
　さっきぶつかった時睨んでただろ(笑)」


訳が分からない顔をしてるあたしに
聖太がこう付け足した


「廊下で蓮紅とぶつかっただろ？
　蓮紅は睨まれたこと分からなかった
　みたいだけど、怖かったぞ！」


さっきぶつかった人は蓮紅だったのか
別に睨んだつもりはないけど


あたしは勘違いされても困るから
一応否定して再び外に目を向けた