【完結】ヒミツの極秘結婚【社長×秘書】
俺にはそう答えるのが精一杯だった。
もし、俺が今ここで愛してると答えたら、美優紀はなんて言うんだろうか……。
「……社長、わたしは社長のこと……」
「ーーーおやすみ、美優紀」
「おやすみ……なさい……」
俺はそう言い残して、静かに部屋を出た。
「……焦った」
美優紀は今、なんて言おうとしたんだろうか……。
思わずドキッとして、本当に久しぶりに焦った。あんなにカワイイことを、美優紀が言うなんて……。
酔っているからとしか、思えない。
普段の美優紀なら、絶対にこんなことを言わないし、自分から言ったりもしない。
……今日のあの時から様子が変だけど、今のほうがよっぽど変だ。
美優紀がまさか、あんなことを言うなんて……。
確かに俺は、美優紀を愛している。結婚をしたあの時よりも、ずっと美優紀のことを愛している。その気持ちにウソや偽りなんてない。
だけど、今あそこで愛していると伝えたら、どうなっていたのか……。
ちょっとだけ、知りたくもなった。