組対のデカ
　だが警察関係者にとって、河村組の存在自体危険だということは十分分かっている。


　所属する組員たちを使って何を仕出かすか分からない。


　それに入院中である東京地検の大口検事も政治家の汚職を追っている身で、今はまだ退院できないにしろ、いずれ復帰すれば検事としてしっかりとやるつもりでいるようだ。


　大口の追っているのは民自党政調会長の柳龍二だ。


　柳は旧建設省のＯＢで、政治家に転身した、いわゆる族議員である。


　官僚時代から全ての利権を握っているものと思われた。


　柳やヤツの側近を捕まえることが、今現在の国土交通省の事務と政務両方の大掃除になることは目に見えている。


　俺たち組対には特捜の動きはほとんど関係なかったのだが、柳が後ろ暗い過去を持っているのは事実だった。


　一刻も早く関係者を引っ張り、調べるのがベストだと思われる。


　大口の思いはそこにあるのだった。


　そして東京地検特捜部の検事たちは、柳の周辺を張り始める。
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