組対のデカ
 丸岡はデスクワークが主体だったが、捜査情報の一部を一課や組対にリークすることがある。


 都合のいい情報屋を兼ねているのだった。


 丸岡はおそらく長谷川転落死事件に関して一定量の情報を得ているものと思われたのだし、もちろん長谷川とは知り合いで、お互いツーカーで通る仲だったことも分かっている。


 空が曇っていて何かと晴れないその日、公安部のフロアに丸岡を訪ねた。


「おう、安藤。どうした?何か困り事か?」


「いえ。そういうわけじゃないのですが、退職した後、ああいった形で人生を終えられた長谷川さんの死亡事件に関して何かご存知かと」


「それは五課長の倉田の指図で探り入れてきたってことか?」


「違います。あくまで五課長には隠密で」


「今、一課と組対四課の一部のデカたちがあのヤマ追ってる。俺たち公安はネタ元がネタを提供しない限り、動きようがない。それにお前も警視庁職員として当然知ってると思うが、一課の速水と越沼が仲悪いよな。あれは亡くなった長谷川さんが越沼警部の方に期待掛けてたからだ。知ってるよな?」


「ええ」
< 109 / 259 >

この作品をシェア

pagetop