組対のデカ
 あくまで隠密を決め込んで、だ。


 それに大塚会が摘発されれば、河村組の鐘ヶ江や酒見など別所帯のヤクザを捕まえることも可能である。


 組対四課の人間たちもそれだけ重責ということだった。


 西新宿署の帳場の様子は、まるで分からない。


 ただ、おそらく何度も何度も捜査会議を重ねて、長谷川を転落死させたと考えられる人間を追うつもりなのだろう。


 第一容疑者として、北川の名が挙がっている。


 警察もマスコミなどから突き上げられていた。


 新聞社や雑誌社などの関係者は都合のいいネタがあれば、すぐに飛びつく。


 俺たちもいくらか恐れているところがあった。


 この一連の事件が一本の糸で繋がっているとすれば、得をするのは一体誰なのかと。


 それに長谷川が消されたのと繋がるようにして、都内の病院に入院中の大口検事が追っていた民自党政調会長の柳龍二の汚職事件も曖昧になりかねない。
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