組対のデカ
 柳は旧建設省OBで、政治家へと転身してきた族議員だ。


 旨味の載った利権は全て握っているものと考えられた。


 官僚時代から何かと幅を利かせていた人間である。


 金銭に対する欲求だけでなく、権力欲も相当強い。


 民自党内にある柳派は、所属する国会議員が百五人いる党内一の大所帯だ。


 大口の部下である東京地検の検事たちが追っている通り、仮に柳やヤツの側近が汚職事件で捕まれば、現在の国土交通省内の大掃除となる。


 俺たち組対部としては地検の動きの方は、しばらく静観するつもりでいた。


 大口の行動通りなら、転落死した長谷川が指摘していたように、地検の検事たちが水面下でサンズイ、いわゆる政治家の汚職事件を追っていたのはほぼ間違いない。


 大きなヤマとなりそうである。


 地検本体も警視庁も動いていた。


 特に検察は、次に柳がどこで現金や小切手等などを受領されるか確認するのが仕事だ。


 関係者たちがずっと柳の周辺を張り続ける。
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