組対のデカ
第23章
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 六月下旬の国会閉会を待って、大口が追っていた民自党政調会長の柳龍二は逮捕される。


 ヤツは旧建設省OBで、政治家へと転身を図った族議員で、ボロはいくらでも出てくるものと思う。


 河村組組長を勤める鐘ヶ江に、大塚会トップの山本が絡んでいるならば、柳を含め三者が三様に利益を得ていることになる。


 柳が指令を下し、鐘ヶ江や山本が組の構成員を使って悪事を仕出かしたと仮定すれば、全ての事件に関して辻褄が合うのだ。


 俺たち組対は二度目の積荷検査で押収した銃器やシャブなどを点検する作業に入る。


 末端価格にして、今回の積荷検査で二千万円相当の物品の取引を押さえられたのを確認済みだ。


 だが組対部でも四課の方が河村組や大塚会のヤクザたちを捕まえるのに躍起になっている。


 俺も同じ組対でありながら、四課の動向は気にする必要がなかった。


 あの連中が追っかけているのはヤクザ者たちで、柳の一件に関しては検察が絡んでいる。


 都内の病院に入院中の検事の大口が指令を出していた。


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