組対のデカ
 仮に北川を捕まえられたとしても、検察内に北川に対し捜査情報を売り渡して、逃亡を幇助した人間がいたということだからである。


 俺たち組対も気になっていた。


 検察と対等に渡り合い、取引をした北川の腹の内が。


 そして最終手段として内閣官房が取った策は、検察庁内にいる検事たちに対しての監察官聴取だ。


 ちょうど折を見て、検察庁に担当監察官が派遣された。


 折原奈美子という女性が検察庁担当の監察官で、上下ともスーツを着こなして、霞ヶ関にある検察庁へと入っていく。


 折原が調べたいのは今回の長谷川転落死で、他殺の容疑者と目される北川の逃亡を幇助した検察官が、東京高検に在籍していなかったかどうかである。


 内閣官房も甘くはないのだ。


 身内の不祥事に関して、目を潰れないと思ったのだろう。


 待ったを掛けずに迅速に折原を派遣したのが……。
< 137 / 259 >

この作品をシェア

pagetop