組対のデカ
 だが検察庁担当の監察官である折原が来たことは、ある意味俺たち組対の人間たちにとって以外だった。


 あの女性監察官が検事相手に何を調べ上げたのか、気になっていたのが本音である。


 そして監察官聴取終了後、折原はいつも詰めている部署へと舞い戻ったらしい。


 彼女が調べたいのは長谷川転落死事件で、第一容疑者と目される北川の逃亡を幇助した検察官が、東京高検に在籍していたかどうかである。


 さすがに中央省庁も甘くはない。


 身内の不祥事に対し、目を潰れないのが現実だ。


 俺たち組対はずっと事態の推移を見続けていた。


 折原が監察官として聴取した事項にどれだけの効力があるのか……?


 おそらく事前に疑惑をある程度調べ上げ、事実関係を確認するつもりで来たのだろう。


 俺も各省庁に付いている監察官の鋭さを感じ取っていた。


 折原もそれだけ監察官としてしっかりしているということだ。


 まあ、俺たち組対がどうのこうのと言っても、仕方ないことだったが……。
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