組対のデカ
 そう考えれば、警視庁宛にあのフラッシュメモリが送られてきたことも説明が付く。


 データの詰まっているフラッシュメモリは警察職員が中身を確認したところ、政財界や官界、法曹界、それにマスコミなどの裏を暴き出すデータだった。


 やはり大口の指図で、長谷川の転落死は半ば餌かダシのようにされ浮上してきて、その後の処理で全て検察の思惑通りに事が運ばれたという線で間違いない。


 そうなってくると、刑事部は当然ながら、裏で事件を利用した検察官たちの逮捕状を取るだろう。


 現役検察官が逮捕されるとなると、霞ヶ関に激震が走る。


 俺も組対部の一員として動くつもりでいたのだが、警視庁公安部在籍時、右翼担当の公安第三課にいた過去も思い出し、また丸岡と会う機会がないかどうか探っていた。

 
 当時上司だった片桐のことを脳裏に鮮明に思い起こす。


 右翼と暴力団との癒着は絶えなかったのだし、転落死したマル暴の長谷川も付き合いがあった。


 片桐は退職済みで、後任の三課長の丸岡も一連の事件のことをいぶかしんでいたようだ。


 丸岡は普段ずっとデスクに座っているのだが、捜査情報を一課や組対など桜田門でも他の部署に流すことがある。
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