組対のデカ
第26章
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 六月も終わり、七月に入ると、暑さは俄然増してくる。


 梅雨の合間でも連日真夏日だ。


 その日も朝から組対部があるフロアに詰め、二度目の積荷検査を経て押収した物品を調べ続ける。


 銃器やクスリなどばかりで、これが北に行って売買されれば、巨額の資金が国内の暴力団の手元に流されてくるのが分かっていた。


 末端価格にして二千万円相当の物品を差し押さえている。


 組対部でも四課は河村組や大塚会のヤクザたちを追い続けていた。


 だが同じ組対でありながらも、四課の動向は気にしてない。


 組対四課は常に暴力団関係者を追うのが仕事だからだ。


 俺も今は組対部の一員として動いているのだが、警視庁公安部に在籍していた過去がある。


 あの頃は街宣右翼の集会取締りなどに行き、関係者を検挙したりしていたのだし、公安第三課の仕事は何かと忙しかった。
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