組対のデカ
 しかも河村組や大塚会を取り締まる組対四課も敏感になっていた。


 河村組組長の鐘ヶ江と部下の酒見、それに大塚会のトップである山本が絡んでいるとすれば、民自党の政調会長職に納まっている柳龍二が裏で手を引いている可能性が濃くなってくる。


 そして三者が三様に美味い汁を吸っていることになるのだ。


 柳が国会事務所などから指令を出し、鐘ヶ江や山本ら子飼いの指定暴力団の構成員を使って悪事を仕出かしたとすれば、一連の事件に関して辻褄が合う。


 俺たち組対はもちろん特捜の把握しているネタなどは知らないのだし、組対四課のデカともフロアが隣接しているだけで、詳しいことは情報として入ってこない。


 だが、そろそろ動くべきときが来たのかなとも思える。


 実際、特捜の係官たちは二ヶ月先の九月上旬の国会閉会を狙い、柳を逮捕する。


 その際、柳本人及び側近議員たちだけでなく、複数の民自党関係者の立件も視野に入れていた。


 献金などの公職選挙法違反が指摘され、検察は息巻いているのだ。


 仮に入院中の大口が病床から指令を出しているとしたら、一体どんなことを部下たちに告げているのだろうか……?
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