組対のデカ
 公安の人間たちはいろんなことに詳しいからである。


 俺も組対部に詰めているときは、ずっとパソコンの画面を見つめていた。


 様々な情報源がある。


 こと捜査をするのに、情報はいくらでもあった。


 俺も裏方とはいえ、現役の刑事としてしっかりやっていた。


 長谷川転落死をきっかけに、これだけの事件が噴出するというのは、全くの想定外だったからだ。
 

 速水と越沼が一課の中でも競り合っているのだが、俺たち組対部には一課の詳細な情報が流されることはない。


 つまり一課は一課で捜査をしているにしても、俺たち組対には情報がほとんど来ないのだし、辛うじて捜査の進捗状況の断片のようなものを伝えてくれるのは、西新宿書の帳場に詰めている管理官の北山院ぐらいしかいなかった。


 よく五課長の倉田が電話などで話をしているらしい。


 俺も情報が知りたかった。


 事の詳細を。
< 171 / 259 >

この作品をシェア

pagetop