組対のデカ
 ただ、現時点で一課の中はバラバラである。


 速水や越沼たち一課内にいる殺人犯捜査七係の刑事だけでなく、他の係のデカたちにも順次出動要請が入るものと思われた。


 だが果たして七係以外の刑事たちが出動し、捜査が奏功するだろうか……?


 俺には到底そうは思えない。


 単にわずかに捜査が匍匐前進する程度で、根本的な解決にはならないだろう。


 組対部が幾分模様眺めしているうちに、七月も初旬から中旬に掛かりつつあった。


 俺たちは組対部の人間として、陰で動き続ける。


 あくまで刑事部や公安部から情報をもらったなどとは言えない。


 捜査情報は秘匿する必要があるからだ。


 今回の事件で長谷川を闇へと葬ったのは、やはり検察のような気がしてならなかった。


 俺たち組対も大口が長谷川のマル暴時代のキャリアはもちろん、柳など民自党の人間たちのスキャンダルを追いかけていることに対し、抵抗を感じているのかもしれない。
 

 確かに今国会が閉会すれば、柳は逮捕される。
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