組対のデカ
 俺自身、組対部の一員として、いずれ出動要請が掛かるものと思っていたのだし、実際動く態勢も出来ているのだ。


 長谷川転落死事件が引き金となり、警視庁に送られてきた例のフラッシュメモリがキーとなる公算が高い。


 警視庁の捜査員でも、特に組対四課の刑事たちは日に夜を徹して動き続けていた。


 それに全国の治安を守る要となる警察庁のデカも上から指令を出すばかりじゃなくて、動く態勢を整えつつあった。


 一人のマル暴の不審死、送り付けられてきた日本の各種業界の過去の不祥事が詰まったフラッシュメモリ、そして大口検事に対する拭いきれない疑惑……、全てのカラクリを解く必要があったのである。


 それに尋常じゃないと思えることがあった。


 日本の法務の中枢にある検察庁に担当監察官である折原が監察官聴取に来たのは、庁を揺るがすほどの大事件だったのである。


 組対部もいずれ出動する必要があった。


 まあ、出動と一口に言っても、警察全体が動く大規模な事件を捜査するのは実に大変なのだったが……。
< 176 / 259 >

この作品をシェア

pagetop